売渡承諾書
売渡承諾書とは、売主がある物件を売却するつもりがあることを表明した文書をいいます。
物件の表示、契約締結予定年月日、売買代金の予定額、有効期限などが記載されています。
法的拘束力はなく、いつでも白紙撤回することがでるといわれています。
売渡承諾書の法的な性格は、売却の可能性を表明した文書であり、確定的な意思表示ではなく、契約の申込みあるいは承諾としての効力は認められないとされています。
又、取引実務上も、契約成立前の準備段階において授受される文書であると理解するのが一般的になっています。従って、そこに記された内容は随時撤回可能ということになります。
判例
東京地裁昭和63年2月29日判決
売買契約が成立するためには、当事者双方が売買契約の成立目的としてなした確定的な意思表示が合致することが必要であるが、不動産売買、とりわけ本件のように高額な不動産売買の交渉過程においては、
当事者間で多数回の交渉が積み重ねられ、その間に代金額等の基本条件を中心に細目にわたる様々な条件が次第に煮詰められ、売買の基本条件の概略について合意に達した段階で、
確認のために当事者双方がそれぞれ買付証明書と売渡証明書を作成して取り交わした上、更に交渉を重ね、細目にわたる具体的な条件総てについて合意に達したところで最終的に正式な売買契約書の作成に
至るのが通例であることが認められるから、こうした不動産売買の交渉過程において、当事者双方が売買の目的物及び代金等の基本条件の概略について合意に達した段階で当事者双方がその内容を
買付証明書及び売渡承諾書として書面化し、それらを取り交わしたとしても、なを未調整の条件についての交渉を継続し、その後に正式な売買契約書を作成することが予定されている限り、通常、
右売買契約書の作成に至るまでは、今なお当事者双方の確定的な意思表示が保留されており、売買契約は成立するに至っていないと解すべきである。